北九州市立大学 エネルギー循環化学科 李研究室

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さんさくろ

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私の一言集(2021年)

2021年10月4日
久しぶりにHPをアップデートした。このさんさくろもだ。特に忙しかった訳でもないが、なかなか気合を入れて何かに集中できる状況ではなかったことは事実である。何かを続けるにはかなりの覚悟が必要であることは間違いない。コロナで沈んだ気分が戻ってこないのは僕だけではないかも知れない。

私の一言集(2020年)

2020年8月20日
成長:長かった梅雨も終わり、日当たりのよい柵にはキュウリが花を咲き、無事に成長していている。自分の成長に無感覚な日々を過ごしている中、久しぶりの新鮮な刺激だ!^_^

2020年7月24日
コロナに負けず、安心!
オンライン講義や大学の業務がコロナ前と比べると半端ではない。もちろん、研究は解かれた靴の紐みたいで中々進まない。こんな時に何か役に立たないものはないかと思って、百円ショップや近所の店で品を揃えて殺菌装置を作った。性能抜群、省エネ!大学の事務室で品評会、皆さん、大満足!

2020年6月13日
フェイスシールドヌイグルミ:まだ安心しては行けません!今日も大学の入り口をぬいぐるみが守っている。ありがとう!ご苦労です!

私の一言集(2019年)

2019年5月22日
帰り道に目に入った路上の脇に咲いた花、誰もがほとんど目をくれないのだが、美しすぎる黄色の姿が人より堂々とする!

2019年5月21日
なぜ、匂いなのか?:なぜ、匂いの研究を始めたのか?という質問をよく聞く。子供の時、医者になるのが夢だった。その時はただ、医者になる道がどんなに険しいものなのかも知らず、白いガウンの格好良さだけに心が引かれたと思う。高校に入ってそれなりに勉強はしたが、夢に届かず、 化学の教師という道を選んだのは少しでも人助けに近い仕事をしたかったからである。化学の分野は本当に広く興味深い。生物学や医薬に関連する分野もあるのでいつもそこに心が引かれていたが、やる気があってもそう簡単に始められる研究ではない。これまで片づけていた夢の箱を再び取り出せるようになったのは、匂いで病気が分かるということを知った時である。 理由は簡単で、化学が専門なので病気の成分を調べるぐらいは、やればできると、自信があったからである。まあ、その道も思ったほど簡単ではなかったが、今考えると少しは子供の時の夢をかなえたような感じがする。

2019年5月20日
昨日小倉であった第79回分析化学討論会の公開シンポジウム-『生活に密着する分析化学』講座に来られた方々、特に化学に興味をもって参加した高校生の皆さんにお礼を申し上げたい。これまで数多くの人と名刺交換をしてきたが、 高校生と名刺交換をやったのは初めてで可愛く作った名刺できちんと自己紹介をしてくれた。本当に将来が楽しみだ。“匂いによるがん診断”というタイトルで始めた講演を楽しく聞いていた生徒たちの顔がまだ頭に残っている。将来のこの国をこの世界を担う立派な科学者なることに間違いない。応援したい!!

2019年5月7日
まだ夢がある:夢があることは良いことだ(誰でもそう思うが)。今までどれほどの夢があったのか?あまり記憶がない。確かに子供や若い時は今より夢が多かった気がする。その大半は何になりたいという将来の仕事をつかむためのことであったかも知れない。 しかし、中年の大人になった今は、その若い時の夢をただ酒のおつまみにして時々笑ってしまうことが多い。夢は現実的でなくてよい、人生の最終目標でなくてもよいだろう。やってみたいと思ったことがあれば、今日、一つでも始めればよい。夢ある人になる道ではないか?

2019年5月4日
研究のあり方:研究において最も大事なものを一つ言えと言われたら何を言えば良いのか?論文、研究費、実用化、社会貢献、その他成果、・・・等々。人によって見るどころも違うので考えも違うかも知れない。別に大した研究をしている訳でもないのでそんなこと言うのも恥ずかしいけど。 しかし、研究という仕事を職としていることを考えるとそんなこと関係なく何か一つは答えるべきだろう。常に思っている一つは、”真似はしない、それで十分”という考えだ。今までそのような考えでやってきたが、今後もそのような考えでやって行きたい。

2019年5月3日
時間の相対性:10連休のゴールデンウイークももう終わりのどころだ。いつもと変わらず、仕事をする日々であったが、この一週間の速さは普段の時間とは違う。なぜ、だろうか? これまで時間がないことを理由に後回しにしてきた(悪い癖だが・・・)ことをほぼ完成近くまで仕上げることができたことの満足感が、休みなしのこの一週間の疲れより大きいことなのか?。まぁ、夢中になって自分の好きなことができたことに自分を慰めるしかない。もう一週間休みがあれば良いなぁと思うところだ。来週の授業の準備も始めなきゃ?

2019年4月26日
真と嘘:政治や宗教、学問などの様々などころに人類が最も対立する一つの原因がこの言葉にある。立場によってこの相反する言葉の本意が変わり、どっちがどっちか分からなくなる場合が多くある。 しかし、科学において“真”は一つだけで科学者は実験と検証というプロセスから“嘘”を見抜ける方法を学ぶ。“真は繰り返しの過程で検証された統計的な結果”であろう。

ネット聖人:人類の歴史の中に刻まれた聖人の数は極めて少ない。でも釈迦やイエスなど、遠い昔の彼らの教えは未だに我々の生き方の物指しになっている。一方、最近の人々はほとんどの情報をインターネットから収集し、自分の生き方さえ占うことができる時代になっている。近い将来、バーチャル世界に聖人が現れることもあるだろうか?

2019年4月25日
貧乏脱出:昨年はまともな研究費もなく一回も学会に参加することができなかった。必要な試薬の購入にも苦労し、研究者として非常に恥ずかしい話だが、それが事実だったことに対しては言えることが何もない。しかし、それで一つ得たことは、研究に対する自分の熱意をもう一度確かめることができたことである。 お金があるから良い研究ができるのか、良い研究をやるためにお金が要るのか、など。経験から言うと、十分な研究費が必ずしも良い研究につながったとは言えない。“今日も新しさを求めた研究への熱意は冷めない、それが貧乏な研究者の根性だろうか?”今日も貧乏脱出のために必死に戦う一日であった。

2019年4月24日
教育について:教育は人を正しく育てることである。しかし、育てることだけになってしまうと育てる人の価値観や人格に大きく影響されることもあり、育てるだけではまともな教育にならない。“教育は人の生きる道を教える非介入的指導になるべし。”では?

2019年4月23日
趣味について:趣味で始めた剣道が今年で17年目になった。何回の失敗はあったが、昇段審査に自分の無能力さを感じたのは5段昇段の連続不合格を経験してからである。“剣道は人間形成の道であり、・・・”、ちなみに剣道の理念である。 しかし、人間の欲望はその理想の世界に目を向けない。ただ、高段者になれば、人間形成は付いてくるものと考えているかも知れない。“無謀な欲望は人の本来の姿を壊す、ひたすら自分ができることに最善を尽くすことに意義あり。”ではないか?

2019年4月22日
時間について:多くの人は時間が速く過ぎたことを悔み、自分が残したことには時間を恨む。“A lot of people regret that time has passed rapidly, and blame the time for what they left unfinished.“

人の違い:後でやると言っている人は結局何もやらない。“People who say they will do later do nothing.“ 問題はやるかやらないかにあるのではなく、自分の怠けにある。

2019年4月21日
研究者の天才性:私に天才性は全くない。幸いに子供の時から自分の周りには天才が一人もいなかったので自分の平凡さに落ち込んだこともない。恐らく平凡な素質は遺伝的なものだろう。天才性のない自分に何か才能ありの可能性を感じたのは大学院に入って研究を始めてからである。 “研究者の天才性が芽生えるのは発見というひらめきの瞬間である。”

大人の資格:大人(軍服務時を除き)になって誰に言われて何かをやったことの記憶がない。言われるのが嫌いな性格もあるが、言われる仕事って面白くないからでもある。“言われる前にすればよい。言われるのが嫌なら言える人になればよい。”と思うのも一つの答えではないか?

2019年4月19日
人の違い
“大した人間は大したことないことを大したことにしない。”
“やらなくて良いと思う人より、やってみて失敗する人の失敗は少ない。There are less fails by those who experienced fails than by those who did nothing.”

2019年3月23日
成功への価値観:“成功かどうかはよく分からない。メジャーリーグに挑戦するということは大変な勇気だと思うが、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では後悔を生む。” 2019年3月21日、プロ野球のイチロー選手の引退インタビューの時に残した言葉だ。人生最終目標が成功を追いかけるだけでは面白くないことだろうか?

研究室の窓から

世界初、唾液の匂い成分で口腔がん診断(02/2019)

 紀元前の古い時代から匂いを使った病気の診断が行われてきましたが、その詳細が学術的に説明し始められたのはわずか約40年前のことです。特に、近年では分析機器の急速な進歩により疾患(特に、がん)に関係するより詳細な化学情報が解明されつつあります。最近、我々の研究グループは九州歯科大との共同研究で唾液に含まれる匂い成分から口腔がんを診断する技術を世界で初めて確立しました。12種類に絞られた唾液の匂いのもととなる成分が「新生」「増減」「消失」といった3つの群に分かれることを特定し、がん患者12人と健康な人8人の唾液を分析したところ、9割以上の確率でがんの有無を判別することに成功しました。今回の成果は、口腔がんの『匂い情報』が解明できたことにありますが、同様な方法でも肺がんや胃がんなどの匂いを特定できる可能性が高く、新しいがん診断技術としての確立を急いでいます。将来的には、息を吹きかけるだけでがんの診断ができる計測機器の開発など、匂いを軸とする新しい医療産業の実現を目指したい考えです。

研究室ホームページをオープン!(05/2019)

 2001年4月、若松のひびきのに新しく国際環境工学部が設立されてから19年目になりました。その1年前の2000年には小倉の国際会議場の6階に看板を立てた設置準備室にいましたので国際環境工学部との縁は実際、今年が20年目、まったく光陰流水のことしです。設置準備室で一緒に働いていた何人かの教職員はすでに退職され、寂しくもこのキャンパスで顔を合わせることはできません。 2001年に研究室を立ち上げてから多くの学生はいませんでしたが、毎年1名ぐらいの修士過程の学生はいました(実はいない時もいましたが...涙)ので幸いに研究が途切れることなくここまで来ることができました。今はここにはいませんが、この研究室で苦楽を共にしていた卒業生やプロジェクト研究に関わっていた研究員の皆さんにこの場を借りて感謝の言葉をお送りします。 19年前に比べると研究はそれなりに成熟した感じがしますが、思うほど進展がなくこれからのことに悩むことが多くなりました。少ないマンパワーは思うほどに研究を進められない理由の一つですが、今でも自力で実験できる体力はあるのでしばらくは問題ない感じです。しかし、細かいものが見づらくなったのは否定できない現実です。 最近、病気と匂いの関係を調べる中で興味深い発見がありました(詳細はこちら)。唾液に含まれる匂い成分から口腔がんを診断する技術を確立することができたことです(九州歯科大との共同研究)。唾液の匂いのもととなる成分が「新生」「増減」「消失」といった3つの群に分かれることを世界で初めて特定し、がん患者12人と健康な人8人の唾液を分析したところ、9割以上の確率でがんの有無を判別することに成功しました。 今回の成果は、口腔がんの『匂い情報』が解明できたことにありますが、同様な方法でも肺がんや胃がんなどの匂いを特定できる可能性が高く、新しいがん診断技術としての確立を急いでいます。 将来的には、息を吹きかけるだけでがんの診断ができる計測機器の開発など、匂いを軸とする新しい医療産業の実現を目指したい考えです。今後も李研究室のご関心・ご支援をよろしくお願い致します。

酸化チタンを使う分子インプリント誕生の話(11/2020)

懐かしい論文一報、研究の始まり!
 渡日する前の韓国では、教師になることを目指し、大学の教育学部で化学を専門にしたが、卒業の頃に研究に興味が沸き、教師になる夢を諦めて大学院に進学した。大学院の理学研究科で化学(物理有機化学)を専門にし、その後3年間の兵役を終えて博士後期課程に復学した。しかし、研究より自分の生活を支えるのに精一杯で非常勤講師を転々としながら、修士課程からの基礎化学分野の研究を続けたが、より社会に役に立つ実用的な研究をやってみたい覚悟で大学院博士後期課程を中退し、日本留学を決心した。 1996年に九州大学工学研究科博士後期課程に入学し、恩師の國武豊喜教授の指導のもとで「分子組織学」という初めて耳にした専門領域の研究を接することになった。福岡市箱崎にあったキャンパスはほぼ100年も前に建てられた古いものが多かったが、中身は非常に充実で韓国では触ったことのないものが研究室を埋め尽くしていたのでそれらを使って研究をする毎日が嬉しくて、時には「これが本当の研究や!」と心の中で叫んだこともある。九大の博士課程での研究テーマは、簡単に言うと金属酸化物を土台とする分子認識システムの構築であった。生体が有する高度な分子認識機能を世界初めてに酸化チタンという金属酸化物を用いて実現することのミッションが指導教員から与えられた。誰もが成功することを信じていなかったことは事実で、ほぼ毎日をその課題解決との闘いでほとんどの時間を過ごした記憶がある。今は当たり前のように世界の研究者らがその最初の論文を引用している(下左図)。たまに新しいことをやりたい時はこの論文を見ながら過去を振り返って見る。

ひらめきが生み出した新しい研究領域:セラミックス材料の極端に薄い層状の中では、金属酸化物のネットワーク結合は極めて柔軟性に富むので、分子の複雑な形を反映した穴を作成することができる。理論的には、非常に簡単なやり方と思われるかも知れないが、当時(1996年頃)、これを実現するための適切な方法が見つからず、図書館と研究室を行ったり来たりしながら方法を探し続けた記憶がある。一般的にシリカ(SiO2)という金属酸化物を用いた例はすでに1949年にDickeyによって実証されたが、酸化チタン(TiO2)を用いた例はなく、特に前駆体となる金属アルコキシドとターゲットとなる鋳型分子の反応制御が難しいことで望むような製膜をすることができなかった。その苦戦の日が続くある日、酸化チタンはカルボン酸(COOH官能基を有する分子)またはアルコール(OH官能基を有する分子)のような有機化合物と容易に錯体を形成して有機・無機複合化が可能であるあることを文献から探し出し、頭の中に浮かんだイメージを直ちに実験ノートにスケッチした(下右図)。一つの光が見えたその日の夜は心臓がわくわくして眠れなかった。指導教員の先生はいつも忙しくあまり会える機会がなかったので、そのプロトコールを提案するために、実験ノートをもって先生の部屋の前をうろうろした覚えがある。
 このアイデアは指導教員から直ちに認められ、実験に移すことができた。当時、ナノ材料研究分野では、自己組織化(self-assembly)というジャンルの研究が大勢であったので有機・無機複合化材料においても自己組織化を基盤とする研究が広がりつつあった。私が提案したこの方法は分子鋳型研究だけではなく様々な有機・無機複合化材料の開発に展開されることになり、研究室の多くの生徒がそれぞれのテーマをもって研究を拡大し始めた。その結果、私の分子鋳型研究より先たち複合薄膜の研究成果が著名な国際論文誌(現、インパクトファクター:24.410)に掲載されることになった。この新しい展開は、金属アルコキシドを出発原料とするゾル-ゲル法の特徴を生かしながらも各種の機能性複合膜を得ることのほか、最終生成物である無機膜の微細構造を制御する手段として非常に高い可能性があったので、指導教員の先生が退官し、理化学研究所(RIKEN)の国プロを立ち上げた時にも一つの重要プロジェクトとして研究が続けられた。

 

研究のすきまに

時には空を見上げよう

  大分前に校舎棟の近くで撮った写真です。まぁ、人の心のようですね!

ひびきの四季

春が訪れいつの間に人の背より大きく空に向かっている草! Without hard work, nothing grows but weeds!

夏に近づいた春のある日

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