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研究内容
■人新世におけるヒトと植物の関係
人類の活動が地球環境を変化させるまでに拡大した、今、我々が生きるこの時代を、これまでの地質学的な時代区分とは区別して人新世(Anthropocene)と呼ぶことが近年になり提唱されています。地球規模で大気中や地質上に人類が刻み続ける活動の痕跡は全て、ごく短期間に爆発的な増加を示しており、これが人新世を特徴づけるパラメータとされています。
これは、持続的な社会のあるべき姿とは大きく異なるように思われます。一方、我々の生活と植物との関係も時代とともに大きく変容してきました。このトピックに関して、全学を対象とした博物館(いのちのたび博物館)での講義「自然史へのいざない」の中で「人新世におけるヒトと植物の関係」というタイトルの講義を実施しています。
本講義では、持続可能な社会を目指す中で、望ましいヒトと植物のかかわりについて議論をし、受講者とも課題を共有して考えを整理することをめざしています。
キーワード:科学史、国際年代層序表、進化、生物学、地球環境、植物、人新世
■アジアの人新世:北九州の時代
人新世の始まりが産業革命、特に鉄の産業の起点である鉄の橋の建設(1779年)だとすると、人新世の地球的な広がりは、時間的に一様ではなく、ヨーロッパから始まった人新世の流れがアジアに到達するまでにタイムラグがあったと考えることができます。
アジアでの人新世の始まりは、アジアでの近代産業がスタートする起点となった八幡製鉄所東田第一高炉の稼働年である1901年に求めることができるかもしれません。
現在、第二次世界大戦後の人新世の大発展の時代(Great Divergence)を経て、持続可能な時代への転換をすべき局面に人類はいます。北九州市は、この局面でも新しい時代の指針を提供できるかもしれません。
本研究室では、国内外の研究者と連携して、科学史の観点および環境科学の観点からアジアにおける人新世という時代を捉えなおす試みを行っています。学際的に進めらる議論を通じて、どのような研究展開があるのか、楽しみです。
■ポピュレーションダイナミクスから読み解く人新世
人新世という時代は、地球環境に及ぼす人為的な影響が極大化した時代と定義することができます。これは、地球規模での人口増加と密接なかかわりがあります。
人類の増殖カーブは、一般的な生物の増殖カーブと異なり、ひたすら指数関数的な(ネズミ算的な)増加を続けているように見えます。
このような挙動ができる理由やこれからの人口の予測や、地球環境と人類とのかかわりをポピュレーションダイナミクスを通じて議論する研究に着手しました。
今後の研究展開のキーワードは、地球規模での人口を支えるエネルギー問題です。研究の進展をご期待ください。
キーワード:人口動態、数学モデル、経済活動、持続可能エネルギー、分散型社会モデル、人新世