研究内容
最近、強固、堅牢な材料だけでなく、微弱な刺激・環境変化に応答して劇的な変化をもたらしたり、自己修復するなどの動的な機能を発揮するソフトマテリアルが求められています。。本研究室では、繊維、プラスチック、ゴムなど現代社会に不可欠となっている高分子を中心として、新しいソフトマテリアルの創製やを目指しています。
具体的な研究対象は、
- 1)高分子ミセル・ゲル
- 2)ブロック共重合体
- 3)ポリマーブレンド・ハイブリッド・複合体
などです。
このような系は、様々な相互作用(水素結合・イオン相互作用・疎水性相互作用など)の絶妙なバランスにより、特有の集合状態を形成します。そのため、僅かな環境の変化や刺激により相互作用のバランスが変化し、別の集合状態へと移行します。この原理に高分子物質などが持つ顕在的機能・特性を組み合わせたり、この原理によって物質が持つ潜在的な機能を引き出すことによって、新しいソフトマテリアルを創製することができます。そのため、新しいソフトマテリアルの創製や機能の発現機構を明らかにし、さらなる高度機能化を目指すためには、系に特有な分子集合構造の形成原理を明らかにしたり、ある構造が別の構造へ移行するメカニズムを解明したり、解明された原理・機構を活用して所望の分子集合構造を構築する方法論の確立が必要不可欠になります。
私たちの研究室では、分子集合構造と高分子の分子構造(繰返し単位の構造だけではなく、分子鎖末端等の分子鎖中の特別な場所の化学構造やブロック共重合体、多分岐高分子などの特殊な構造)の関係に着目し、特有な分子集合構造内部での分子の配置や構造の形成機構の解明、集合構造と物性・機能との関連について研究を行っています。
このような研究を行っていますので、高分子をきちんと合成する技術、目的の高分子が得られているか否かを確認するための分子特性解析技術、分子集合構造の構造解析技術が必要になります。高分子の精密合成は、制御ラジカル重合法やリビングアニオン重合法を主たる方法に用いて行っています。分子特性解析は、GPCや光散乱、NMR、FTIRを用いて行います。分子集合構造の解析は、光学顕微鏡、電子顕微鏡などの直接観察はもとより、動的・静的光散乱(DLS・SLS)や小角X線散乱(SAXS)などの散乱法を駆使して行います。特にSAXSは、大型放射光施設SPring-8の実験施設を主に利用させていただき、実験を行っています。これ以外にも、必要な実験・測定はなりふり構わず行って、研究を進めています。
研究テーマ |
制御ラジカル重合法(RAFT、ATRP、NMRP法)による両親媒性ブロック・グラフト共重合体の合成と会合挙動
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放射光を用いた高分子ミセル、ゲル、複合体の内部構造解析 /小角X線散乱(SAXS)によるDDS用高分子ミセルの内部構造解析
/小角X線異常散乱(ASAXS)を利用した高分子ミセル・ゲルの内部構造解析
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高級脂肪酸塩(せっけん)のウィルス不活性化機構の解明 |
プラスチック材料の高次構造形成機構の解明 |
分離・濃縮能を持つ高分子ミセル・ゲル |
再生可能な高分子材料 |
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